割り箸を使わないと木材の一部が不用品になってしまう?
環境保護への関心が高まってきている現代社会、「エコでサスティナブルなライフスタイルを送りたい」と考えるのはむしろ自然な成り行きです。環境保護のため、自然に優しくない割り箸は「使うべきではない」と意識する方々もいるかもしれません。確かに一見すると割り箸は自然の木が材料で、一度使ったら基本的に捨てられる物です。割り箸を大量に消費すると、その分だけ広大な森林の草木が伐採されるのでは、と不安に思っても不思議ではありません。特に一昔前、一部のメディアでは「割り箸が森林の伐採、環境破壊に繋がっている」といった意見を、伝えており、世間でも「割り箸は良くない、マイ箸を持ち歩こう」といった運動がありました。
確かに割り箸は木で作られた消耗品です。コンビニやスーパーで手軽に手に入り、大量に生産、消耗されている物です。世間でも割り箸イコール環境によくない物という見方が浸透しています。ただ、今一度把握しておきたい重要なポイントがあります。そもそも割り箸は、木材の実用性が非常に低い部分を使用して生産された物です。要するに割り箸を生産するために、森林の草木をわざわざ伐採しているわけではありません。元々木材を調達するために、計画的に伐採された木々の不要な部分を、工夫を凝らして再使用された物こそ割り箸の正体です。
そのため、世間で割り箸を使わない努力を推し進めても自然保護には繋がらず、むしろ本来であれば割り箸用に再利用されていた不要な木材の一部が、不用品になってしまいます。不用品になった木材の一部が割り箸に加工されないと、それこそ自然環境の負荷になりかねません。エコでサスティナブルな暮らしを意識することは勿論大事ですが、イメージだけで消耗品の利用をやめてしまったり、正しくない科学的根拠にもとづいた運動に取り組むことは、逆効果になってしまいます。割り箸の需要が激減して、木材の不用品が大量に溜まり、燃やして処分するようなことになれば本末転倒です。